第1,2話で基礎となる知識のエッセンスを説明し、第3話で具体的な投資対象と投資商品について私の実践例を説明してきました。
第4話では、実際に証券会社で購入する前に、必要となる証券税制の知識を簡単に説明していきます。これを踏まえて投資を始めないと、後で気づくと損をした気分になりますよ。
株式投資の初心者向実践例 税金の種類 2種類
ここは実践編ですので、基礎知識は簡単に進めていきます。株式等を購入して利益を出すと、次のような税金がかかります。
1 キャピタルゲインに対する課税
売却(譲渡)益課税:所得税と住民税で約20%
2 インカムゲインに対する課税
配当益課税:同約20%
株式投資の初心者向実践例 NISA口座と積立NISA
今度はこの税金を支払わなくて良い制度です。
NISA口座で購入すると、売却益・配当益とも非課税です。積立NISA口座も同様です。
NISA(または積立NISA)口座を利用してて購入する方が良いと思います。
⇒私はNISA口座
・NISA:上限120万円/年×5年(累計600万円上限)
・積立NISA:上限40万円/年×20年(累計800万円上限)※
※上限33,000円/月の積立可能。売却益・分配金も非課税。
通常のNISAとの違いで私が気になる点は、積立NISA口座扱いとできる投資商品が限定される。年間の上限が低い。
ドルコスト平均法でコツコツの趣旨にもあい、金額も年間40万円はちょうど頑張れる位の金額かもしれません。
ですので、積立NISAでアメリカ株とか日本株の投資の仕組みを作るのもありだと思います。
例えば、毎月積立てる設定を、アメリカ株式投資信託を8万円/年、日本株式投資信託を12万円/年とするとか。
私が通常のNISAにしているのは、使い始めた頃に積立NISA口座の制度がなかったためです。
なお、通常NISAでも毎年40万円の積立をして、7年目に突入しても、初年度分は7年目のNISA口座に持ち越し、残り80万円の枠を使ってNISAで投資は継続できます。
どちらでも大差がないようにも感じますが、私個人は自由が好きなので、好き時に、好きな投資商品を買える通常のNISAを選択し続けています。
株式投資の初心者向実践例 納税手続きは
次の納税の手続きについて、触れておきます。
源泉徴収をされている会社員でも別の収入が入ったら、確定申告をして納税しないといけません。投資による収入も同様です。
1 NISAの枠内なら非課税。
2 NISAの枠外でも、口座の選び方※で、手続きは証券会社が源泉徴収して、代行してくれる。知らない間に終わっていて全く手間なし。
※特定口座(源泉徴収有)を選択すれば、源泉徴収されるので確定申告は不要です。(次章参照)
※為替利益は雑所得として、サラリーのみの収入の方は20万円以上の利益がでると確定申告が必要です。他にも条件がありますので、利益が出たというときは改めてチェックしてくださいね。外貨預金で為替利益が出た場合などにご注意ください。
株式投資の初心者向実践例 特定口座
上述のNISAの枠を使い切った後に、通常、利用するのが特定口座です。株式投資で利益がでると納税する必要があり、非課税枠というものは特定口座にはありませんが、利用するといろいろと手間が省けて便利な面があるので、私もずっと利用しています。
特定口座の前に、一般口座について記載すると、下記のようになります。
一般口座:自分で年間の損益(買値、売値、手数料など)を計算し、自分で確定申告を行う。
株式投資による利益の確定申告は、そんなに難しくはないのですが、特に会社員の方は源泉徴収されているので、確定申告そのものが面倒に感じられると思います。
そこで、特定口座を利用して手間暇を省きます。
特定口座:年間の損益を計算してくれる(年間取引報告書を発行してくれる)。
→さらに、「源泉徴収有」を選択すると、証券会社が納税してくれる=確定申告不要
(「源泉徴収無し」を選択すると、年間取引報告書を受け取り、自分で確定申告をする必要があります)
特定口座は、証券会社ごとに複数持つことができます。
それぞれの口座で損益通算がなされ、納税までしてくれれます。
注意点としては、各証券口座で損益通算をした結果、利益が出た口座と、損失の出た口座がある場合、それらの損益をさらに通算して結果として利益が出た場合のみ納税します。
しかし、各証券会社の口座間の損益通算は、証券会社ではしれくませんので、その場合は、自分で確定申告をすることになります。
配当金について
また、配当金に対する納税については、下記のように設定しておくのが、確定申告をする必要がなくて便利です。
配当金の受け取り方法を「配当所得比例分配方式」を選択しておくと、譲渡損失と配当金は損益通算の対象となり、源泉徴収分が還付されます(1つの特定口座内のみ)
株式投資の初心者向実践例 iDeCo(確定拠出型年金)
証券税制とは異なり、年金ではありますが、ドルコスト平均法で投資をすることができ、かつ、NISA口座のように利益がでても税金がかかりません。
そのため、活用を検討されてはいかがかと思います。
私は2019年2月から活用しています。
1 この制度は年金制度の1つです。証券税制と異なります。
2 国民年金、厚生年金など、加入している年金によって掛け金(積立てることができる金額)が異なります。
3 メリット:
・掛け金全額所得控除※
・売却益・配当益非課税。
・年金受け取り時の一時所得も条件次第で非課税。
「掛け金全額所得控除」が、いかに節税効果があるかは、次の控除と比較するとよくわかります。
例:生命保険料控除の場合、8万円/年の保険料支払で4万円の所得控除。
IDeCoは全額控除可。上限23,000円/月の方は年間276,000円の所得控除となります。
4 デメリット:
・60歳まで換金できない。但し、積立を止めることはできる。
・投資商品が限られている。
・相応の手数料がかかり、実際の投資金額は、普通に投資するより目減りする。
※それでも節税メリットは私の場合高い。所得税率にもよると思いますので、一度チェックしてみてください。
【基礎知識編】共通事項でも触れていますが、節税やコストカットは、資産の目減りを防ぎ、実質的には投資原資を生み出し、複利効果を得ることにつながります。
株式投資の初心者向実践例 第4話 まとめ
NISA口座(積立NISAを含む)、iDeCoも節税効果が高いので、私は現在いずれも利用しています。
分散投資で触れた資産配分(アセットアロケーション)のどこかに入る商品をインデックス型のコストの低い投資信託で設定するのが放置する副業のスタイルです。
非課税のため、利益が大きく乗る可能性のある株式の投資信託をドルコスト平均法で買う際にNISA(または積立NISA)やiDeCoを活用するのも1案
・私はiDeCoでは新興国株式の手数料が安めのものを買っている。
私のアセットアロケーションには新興国株式が若干入っている。
利益が大きく乗る可能性のある新興国株式の非課税はメリットが高い。
投資スタート時は、分散投資で触れた日本・先進国の株式の指数に投資する投資信託あたりが候補でしょうか。
最後に、会社員の方は、昔の私と同様、あまり節税を気にされていない方が多いと思います。長期投資をする以上、証券税制で使えるものはしっかりと使わないと、効率よく資産拡大は図れません。
投資原資は、「収入(ー税金)ー生活費」でしか確保できません。
収入を上げるのが難しい場合は、生活費を切り詰めることになりますが、限度があります。
節税は生活費を切り詰めずに、投資原資を増やす効果がありますので、一番導入しやすい方法です。
その上でしっかり利益を出して、納税しましょう。
第5話では証券口座を開く際のポイントを説明しています。