長期投資とコストの関係 はじめに
放置する副業の投資スタイルは、長期投資です。
長期投資とは頻繁に売ったり買ったりして、短期の値上がり益を積極的に狙うスタイルではなく、一度買ったら少なくとも5年以上は所有しておく、バイ&ホールド型のスタイルです。
そういった長期投資において、投資にかかる様々なコストが、投資成果にどのように影響するかを、実際の投資商品のコストをイメージして、この記事はで計算しています。
長期投資においてコストがいかに重要かを認識できると思います。
その上で、投資商品を選択して、よりより投資成果を目指すきっかけとしていただきたいと思います。
長期投資とコストの関係 投資信託をモデルに検証(1年間)
実際に販売されている下記のような投資信託※をモデルに検証してみます。
※投資信託については下記記事をご参照ください。
設定:元金100万円で投資信託を購入し、1年後に売却する。なお、便宜上、投資信託の基準価格は購入時と売却時が同じであったという前提とします。
今回選んだ投資信託のサマリー
【日本株式に投資する投資信託。配当金なし】
・買付手数料:2.7%
=購入時にかかる手数料:基準価格×2.7%
・信託報酬:3.384%/年
=所有している間にかかる報酬 基準価格×3.384%
・信託財産留保額:0.3%
=売却時にかかる手数料 基準価格×0.3%
計算を当てはめていきます(計算は読み飛ばしても結構です)
・購入時:100万円の元金(元手、自己資金)で購入すると、2.7%の買付手数料を支払うので、実際の運用額は973,000円になります。
・保有時:1年後基準価格が変動がなかったため、購入時の運用額に対して3.384%の信託報酬を支払います。すると残額は939,918円になります。
・売却時:解約して現金化すると、0.3%の信託財産留保額を支払い、937,098円となります。
1年後、100万円だったお金は、937,098円が手元に。
62,902円がコストで消えたことになります。
当然ながら値上がりするかもしれません。損失を出さない(つまりイーブン)になるようにするには、ざっと7%、7万円以上値上がりする必要があります。利益を出すにはかなりの値上がりが必要ということです。
投資ですので、値下がりの可能性も充分あります。
仮に7%下落していた場合は。
1年後、871,501円が戻ってきます。損失128,499円です。
コストの高い投資をしてしまうと、投資信託が値上がりしても、結局利益は出にくくなります。
長期投資とコストの関係 長期投資の場合(10年間)
さて同一の条件で10年間投資した場合を計算してみます。10年間の間、値動きがあり、上がったり下がったりしたけれど、所有している間平均して3%の値上がりをしたとします。単純化するため、毎年3%10年間上昇したという設定にします。
(計算は後述。読まなくても結構です)
結果、100万円の元本は10年後900,263円となります。
毎年3%値上がりしても、大赤字です。
・元金100万円、買付手数料を引いた実際の投資額973,000円
・1年後、973,000円×103%(値上がり)×(100%-3.384%)(信託報酬)=939.918円
・2年後、939,918円×103%×(100%―3.384%)=935,218円
~
・10年後 902,972円×(1-0,003)(信託財産留保額)=900,263円
投資家は、100万円ものお金を10年間も預けて、値下りするリスクも背負って投資をします。
そして、上記例はで年平均で3%の値上がりを獲得し、普通に考えると、100万円×@3%up×10年間で、130万円になって帰ってきて欲しいところです。
ところが、結果は上述のとおり、90万円程しか返ってきません。
つまり、コスト以上の投資成果を出さないと投資家は利益を得ることができません。
長期投資とコストの関係 まとめ
具体例では、毎年3%の値上がりをしても、毎年含み損が増大し、結果的に99,738円の損失となります。
つまり、値上がりする投資信託を選択できてもコストが高いと元金は逆に減ることもある。
逆に、毎年3%継続して値下がりした場合は、▲506,081円に!
このようにコストの高い投資信託は、長期投資の投資対象として考えた場合は、リスクの方が高く、投資対象には向かないということがお分けりいただけたと思います。
長期投資であればあるほど、コストについてはよく確認して投資商品を選ぶ必要がある。
長期投資はコストの低い投資対象を選ぶべき。
長期投資とコストの関係 低コストの投資信託
「放置する副業」おいて、投資信託が投資対象として不適格だとの誤解を避けるため補足します。
同一証券会社で販売している日本株式に投資する投資信託で次のような手数料の安いものもあります。
これなら少なくともコストに負けずに、株価が上昇すれば、長期投資でも勝てそうですよね!
買付手数料 0円
信託報酬 0.167%以内
信託財産留保額 0円
長期投資とコストの関係 低コストの投資信託2
高コストの投資信託が、毎年3%の値上がりでも利益が出なかった要因の1つは、購入と同時に元本が2.7%も減ったことです。
投資家は100万円の元金を使っているのに、実際に運用されているのは約97万円です。
97万円を元金100万円に戻すのに、3.1%の値上がりが必要なところからスタートをしていることも頭の片隅に覚えておいていただけるといいと思います。
100÷97*100=3.01%
買付手数料2.7%だと、実際に運用されるのは97万円。
100万円に戻すのに、3%以上の値上がりが必要。
もう1つの要因は、毎年3.384%の高額な信託報酬が引かれることです。単純に毎年3.384%以上の値上がりがないと、元金はさらに目減りし、損失が拡大します。なかなか厳しい投資となることがわかると思います。
信託報酬が3.384% < 3.384%以上の値上りで利益に
ちなみに、報酬率と値上率がイーブンだと元金は減ります。
97万円×103.384%(3.384%値上り)=1,002,825円
信託報酬1,002,825*0.03384=33,936
手元には968,889円=1,002,825-33,936
1年前97万円 > 1年後値上がり-報酬引き後968,889
よって、
・高コストの投資をするならば、多くの利益が出せることが前提となる。
・そのためには購入と売却のタイミングなどで、スキルや知識が必要となります。
・つまり初心者向けの長期投資を前提とする「放置する副業」のスタイルには合致しません。
最後に、誤解のないように追記します。
放置する副業には合致しませんが、私が実践した様々な投資の中では高コストの投資信託を何度となく買って利益を出しています。
つまり、どういった目的の投資をするのか。
その際、どういった投資対象を選ぶかという考えが整理できるようになると、これらの投資信託も非常に有効となります。
そこに至るまでに、放置する副業スタイルで確固たる投資スタイルを確立し、資産を拡大させ、その内の一部をハイリスクな投資に回す方針が立てれるようなスキルを身に着けると活用できると思います。