不動産投資の仕組み その2 はじめに
この記事は「不動産投資の仕組み その1 初心者向けに自宅購入例で解説」を読んでいただいている前提で作成していますので、まだ読んでいない方は、まずは下記記事をご確認ください。
上記記事では不動産投資の儲けの2つの仕組みを具体的な数字で確認いただけたと思います。家賃収入によるキャッシュフロー(現金購入と融資購入)、時間と共に借り入れが減ることによる含み益の増加の2点です。
・現金で購入した場合の年間キャッシュフロー
・融資で購入した場合の年間キャッシュフロー
・融資で購入し、年数が経過した場合の含み益
今回の記事では、前回の記事の事例とその計算を踏まえて、違う視点で不動産投資の仕組みを展開していきます。
不動産投資の仕組み その2 レバレッジ効果
1 現金購入の場合
前回のおさらいです。
・当初支出(=自己資金):1200万円
(=物件価格:1100万円と諸費用100万円)
・年間キャッシュフロー:990,000円
2 融資による購入の場合
同じく前回のおさらいです。
・自己資金100万円(諸費用)、融資額1100万円
・年間キャッシュフロー:624,000円
3 10年後、購入価格で売却できたとすると
投資効率※が物凄い差になっているのがお分かりいただけると思います。
※投資金額に対するリターンの割合。一般的に利回りという。
投資方法 | 自己資金 | CF10年間※1 | 売却益※2 | 10年後合計利益※3 | 単純10年利回り※4 |
現金購入 | 1200 | 990 | 0 | 890 | 74% |
融資購入 | 100 | 624 | 277 | 801 | 801% |
※1 CF:キャッシュフローの略
※2 10年後購入時の価格で売却できたとする
※3 CFと売却益の合計
※4 10年後合計利益÷自己資金 10年間で自己資金に対して何%の利益が出たかを示している。
4 自己資金が同じ場合
さらに追加で設定します。この方は自己資金1200万円を持っている方と言うことになります。
そこで、自己資金1200万円全てを12戸の物件購入に使い、12戸の物件全てに融資を使って投資することとします。
つまり、同じ自己資金額1200万円を使って、現金で1戸と融資で12戸買った場合の比較をします。
投資方法 | 自己資金 | CF10年 | 売却益 | 10年後合計利益※ | 単純10年利回り |
現金購入 (1戸) | 1200 | 990 | 0 | 890 | 74% |
融資購入(12戸) | 1200 | 7488 | 3324 | 9610 | 801% |
10年後に1200万円の投資は、現金の場合 890万円のリターン、つまり初期投資に対して74%のリターン
同じく融資の場合、801%のリターン。金額では1200万円が9610万円になって戻ってくる。
融資を使いレバレッジ(てこの原理)を使うとこのような計算が成り立ちます。
不動産投資の仕組み その2 複利効果
今度は複利効果について、少し計算して確認してみたいと思います。融資を使って、1戸物件を買った場合で計算します。
融資による購入の場合
・自己資金100万円(諸費用)、融資額1100万円(物件価格)
・年間キャッシュフロー:600,000円
年間キャッシュフローを便宜上60万円として計算します。
当初買った物件のCFを利用して、追加購入します。そうすると、その後は2つの物件のCFも入ります。
そのCFを使って、また物件を購入すると、飛躍的にキャッシュフローが拡大していきます。このまま買い進めれば、6年目は6戸買えることに!年々加速していくことができる。
・2年で120万円貯まります。
⇒内、100万円を使って物件を1戸、融資を利用して追加購入します。
・3年目は2戸の年間CF120万円+2年目の残り20万円。
⇒同じく1戸追加購入。3戸体制に。
・4年目は3戸の年間CF180万円と3年目の残り40万円。
⇒同じく2戸購入。
5年目は5戸体制で、年間CF300万円+4年目の残り20万円が手元に。
下記は年間CFの額です。単位は万円。
所有物件数 | 1年目CF | 2年目CF | 3年目CF | 4年目CF | 5年目CF |
1戸 | 60 | 60 | |||
2戸 | 120 | ||||
3戸 | 180 | ||||
5戸 | 300 |
・5年目の終わりには、5戸の物件を持ち、年間キャッシュフローは300万円、金融資産は320万円となります。
・当初自己資金は…、 100万円ですね!
レバレッジ効果により、CFがしっかり入るとそのキャッシュを再投資して物件を増やし、CFを増やしていくとこのようなことになります。
また、この5戸の物件は10年も経過すると、本件の例だと1戸当たり270万円ほどの含み益を持つことになります。
売却のタイミングを見計らい、高値で売れるときに売却すれば、残債の減少による含み益に加えて、さらにキャピタルゲイン(売却益)も狙うことができます。
不動産投資の仕組み その2 まとめ
不動産投資の儲けの仕組み、投資効率、融資によるレバレッジ効果、そして再投資による複利効果をご確認いただけたと思います。
上手く投資をすれば、不動産投資が儲かることが良く分かったのではないかと思います。
多くの方が投資金額も大きく、ハードルが高いにも関わらず、不動産投資に参入したがるわけですね。
この仕組みを理解しておくと、他のスキームの不動産投資との違いやポイントが見えやすくなる。
1棟マンション、1棟アパート、戸建て、テラスハウス、商業ビル、テナントなど対象となる不動産による違い、入居者属性による違い、新築・築古の違いなどいろんな投資の形があり、利益の出し方があります。(私の経験もほんの1端でしかありません)
しかし、例外もあるとは思いますが、基本はこの儲けの仕組みがベースになっていると思います。
不動産投資の仕組み その2 追記
最後に、実際の不動産投資はいろいろと条件が付き、コストもかかります。
これほどのインカムゲインがなく、レバレッジ効果も落ちることになりますが、基本は今回の例をもとに、肉付けをしていけば、簡単に投資の収益計算をすることができます。
ここで列挙のみしておきますが、今ここで覚える必要はありません。
実践ではさらにいろんなことを考えながらやっていくことになります。少しずつ知識と経験を増やしていきましょう。
・シミュレートする際は、家賃が相場から下がることも踏まえ、ゆとりをもった想定で計算を。
・賃貸に出すならば、空室率を考える必要がある。空室期間は家賃収入が入らない。
・入居・退去時のコストを踏まえる必要がある(リフォーム、入居者募集、広告料、フリーレント(1月無料など)など状況によって変わる)
・ランニングコスト1として、自主管理せず、業者委託なら管理手数料(家賃の5%位)が発生。
・ランニングコスト2として、設備や備品の修繕費用や更新の可能性。例えば、エアコン、コンロ、給湯器など。
・建物購入時には各種費用や税金がかかる。売却時も諸費用や所得税・住民税などがかかる。
・火災保険、地震保険、施設賠責などの加入すると保険料の負担もある。
・投資用には住宅ローンは使えない。投資用は、金利、融資額、融資期間など条件が異なる。なお、住宅用・投資用の融資ともに個人によって借入条件が異なる(「属性による」という)。融資は無限に受けれる訳ではない。
・固定金利でなければ、金利は変動し、返済額が変わったり、残債の減りが遅く(または早く)なったりする。
・金利は変動金利の方が低い場合が多い。固定金利>変動金利。
・利益が出ると、所得税(不動産所得(累進課税)、譲渡所得(約20%))、住民税(約10%)などが発生する。なお、利益2,90万円超で事業税(5%)も。(おそらく売却すると消費税(8%)も払わないと)